幻獣のタペストリー ~落ちこぼれ魔導士の召喚魔法~
「忙しいのにごめんなさい」


「アレクサンドラ」


「何?」


「そういう時は『ありがとう』と言うものだ」


あたしはモゾモゾと体の向きを変えて、ベッド脇に立つホークを見上げた。


「忙しいのにありがとう」


「どういたしまして」


ホークは手櫛であたしの髪の乱れを直すと、身を屈めてあたしのこめかみに唇をつけた。


唇が肌をくすぐり、低い声が耳の近くで

「早くよくなれ。もうすぐ五月祭だぞ」

と、囁いた。


何だろう?


顔が熱い

胸が痛い

あたし、まだ熱があるのかな?


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