モラトリアムを抱きしめて
とりあえず汚れている少女をキレイにしてあげたい。

私もさっぱりしてから考えよう。

たまにこういう時がある。考えても答えがでない時、悩んでも解決しない時、後回しにしてしまう。

それがいいのか悪いのかはわからないけれど。

少女は顔をあげ驚いた表情をした後、不思議そうな顔をした。

出会ってから思っていた。目の奥に何か強いものを感じるけれど、その目はどこか生気がなく、表情もかたく強張っている。

そんな少女が今、この少しの時間でいろいろな表情を見せてくれたのだ。

さっきまでの“護らなきゃ”という強い気持ちとは違う、温かく優しい穏やかな気持ちで少女を見つめている自分がいた。

少女に出会ってから、普段は感じる事のない不思議な気持ちを感じていた。


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