モラトリアムを抱きしめて
――また倒れていたんだ。
目が覚めると、昨日と同じように冷たいハンドタオルを額に乗せ、ソファーに寝ていた。
少し違うのは、はっちゃんが隣に居てくれる事。
そして私は、私にかけた物が少しだけわかったという事。
私の目が覚めたのを見て、はっちゃんは安心したように力を抜いた。
そっと体を起こし、ニコリと笑いかけると、はっちゃんも同じ笑顔で笑ってくれた。
「ねぇ、はっちゃんお留守番しててもらえる?」
はっちゃんは急に何を言いだすんだと言う顔でこちらを見ている。
「思い出したの」
――あの、最悪な母親を