ROSE~AI (ノンフィクション
ケースから、バイオリンを取り出すと肩にかける。
右足を一歩、前に出して背筋をのばした。
深く深呼吸をして、弓を構える。
「・・・・・」
その仕種があまりに自然で、立ち振る舞いの美しさは、普段の高貴とはまるで違った。
瞬間・・・・・
弓が触れる
~・・・♪
~~・・・♪
細く・・美しい音を、奏で始める。
~・・・・♪
~~・・・♪
あまりに綺麗で、美しくて・・アタシは瞬きもせず、その姿を見つめていた。
「プロムナード・・」
弓を動かしながら、高貴が呟く。
「プロム・・・?」
「那智に良く演奏させられたよ・・・」
「・・・・・・」
優しい、悲しげな瞳でそう言うと、手をとめてアタシを見下ろした。
パチパチパチパチ
遠くで、寄り添いあう恋人達から思わぬ拍手を受けて
「超きまじぃ・・・」
高貴は気恥ずかしそうに、片手で顔を隠した。
アタシも正直恥ずかしい。
こんな場所でバイオリンの演奏会だなんて。
でも・・・