手紙
だけど、処置室に足を踏み入れた瞬間に聞こえた声。
泣き声なのか悲鳴なのかわからない声。
何を言ってるのかすらわからなかったのに、ひとつだけハッキリ発音されたそれ。
"真紀"
その声がする方へ向かっていく看護師の後ろを歩く俺。
その看護師が安っぽいカーテンに手をかけて見たのは、見たくも無いものだった。
白く堅そうなベッドに仰向けに寝かされている、紛れも無い俺の愛しい人。
その脇に、横になる真紀の腹に抱き着き泣き叫ぶ女性は何度も会った事のある
愛しい人の愛しい家族。