SEVEN WINGS
「あ、いな……」
 しかし、少女は見てしまった。その『アカイモノ』を。『アカイモノ』の正体を……。
 『アカイモノ』は少年だった。大雨にもかかわらず、血で真っ赤な剣を持ち、身体を鮮血で染めている。その姿は正に……。
「いやぁぁぁ――」
 家中に少女の絶叫がこだまする。そこにおばあさんが飛び込んで来てたずねる。
「どうしたんじゃ。なにがあった!?」
 少女は泣きながら、答える。
「あ、あそこに…………」
 そう言い、外を指差すと、少女は恐怖のあまり、座りこんでしまった。
 少女の状態に、何か悪い予感をしながらも、おばあさんは急いで、外を見る。
「なんでこんなところにあんな子供が!? それよりあの子を助けなければ!!」
 少年の姿を捕えると、おばあさんはすぐに家を飛び出した。けれど、少年はおばあさんに気づくと、持っている剣を、強く握り直し走り出す。
 少年はそのまま、おばあさんを……。
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