海までの距離
3人のお姉さんみたいにミチさんと血縁というでもない。
(そんな馬鹿な!と思ったが、3人の派手嬢は3人共ミチさんの家族だと言う。2人がお姉さんで、1人が妹さん。更にミチさんがバラしたのは、その妹さんの方は、凪さんの彼女でもあるとのこと。流石のミチさんも、無節操にこういう場に遊び相手を連れて来ないようだ)
本来ならば私がここにいるのは有り得ないのだから。
海影さんとゆっくり話したいことは沢山ある。それは確か。
だけど、こんな機会は滅多にない。


「優香は元気?」

「元気ですよ。年明け、皆でカラオケ行くんです。新年会」

「楽しそうだな、真耶も優香も」


海影さんは目を細めて微笑んだ。
有磨さんが幸せになることを、海影さんはきっと心底望んでいる。
そこに自分の名前を連ねてくれたことが、恐れ多いような申し訳ないような気になる。
「海影は真耶ちゃんのこと、大好きだよ」――有磨さんの言葉が蘇る。
海影さんに抱く、ぐちゃぐちゃの感情。
整理しなくちゃと思えば思うほど、絡まっていく。
だから、ずっと放置していた。
放置すればする程、ややこしくなるって知っているはずなのに。
大好きだという気持ちは変わらないのに。
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