海までの距離
慕情、恋慕、敬愛…今の私は、どれが強いの?
氷で薄まったジンジャーエールを俯いて口に含む私の視界に、海影さんの長い指が遮った。


「いいネックレスしてんな」


海影さんが私の鎖骨に触れた。
突然のことにジンジャーエールを吹き出しそうになりながらも、なんとか冷静を装う。


「あっ、これですか?」


顔を上げれば、近すぎる目線。
頬が紅潮する。嫌だ。


「どこの?」


海影さんはそんな私に気付いているのかいないのか、全くお構いなし。


「スタージュエリーです。一昨日、貰ったんですよ」


ホワイトゴールドの、小さな星がついたネックレス。
こんな華奢なジュエリーに海影さんが反応するなんて、ちょっと意外かも。


「クリスマスプレゼントだ?」

「うーん、どっちかと言うと誕生日プレゼントかなあ?」

「えっ、真耶はクリスマスが誕生日なのかよ!」


目を真ん丸くして驚く海影さん。
こういう顔もするんだ…。
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