海までの距離
潮風を切って青空の下を走るのは、朝から気分がいい。やっぱり、田舎の夏は爽やかで好きだ。
(尤も、都会の夏を私は知らない)
今日みたいに雲が無く、突き抜けるような青空の日は、遠くに佐渡島が見える。
テトラポッドのずっと遠く、佐渡島のシルエットがくっきりと綺麗に見えた日は、なんだかいい一日になりそうだと、私は勝手に思うんだ。







駐輪場に自転車を停めた途端、予鈴が聞こえた。


「ちょ…っ、もうそんな時間!?」


大慌てで自転車の籠から鞄をわしづかみにし、玄関へと走る。
炎天下の中の45分サイクリングに加え、短距離ダッシュは朝から堪えるのなんの。
こういう時、教室が1階で本当に良かった…階段駆け上がるほどの体力なんて、もう残っていないって。
教室に駆け込むと、お喋りに華を咲かせていたクラスメート達がちょうど自分の席に着きはじめる時。
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