海までの距離
結成されてまだ数ヶ月しか経っていないというのに、ハーメルンはもうこんなにも前進しているんだ。









出願まで約1ヶ月。
松岡の指導の下、私は受験勉強と並行して願書を書いている。
何度も学校案内のパンフレットに目を通し、パンフレットは赤線だらけになった。
海影さんは「ライに聞けば?」なんて言ってくれたけど、そうは言っても、ライさんに軽々しく受験の相談するのも気が引ける。
一度も見たことのない大学について記述するのは難しい。
こういう時、東京の子は気軽に大学忍び込んだりできるんだろうな。
オープンキャンパスの時期も終わってるし…。


「K大、行ってくれば?」


そんな私のぼやきを一蹴したのは、お父さんだった。
夕食の時のこと。


「『行ってくれば?』って…」


秋刀魚をつついていた私の手が止まる。


「どんな学校か、見てくればいいだろ。どうせ面接の時には行くんだし、1度見ておいたら面接の時の緊張も薄れるかもしれないよ?」


お父さんがお母さんに同意を求めるかのように、目配せする。
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