海までの距離

「はい。次の日曜日、とんぼ返りですけども」

『俺、その日夕方から暇だわ。夕飯一緒に食うか?』

「えっ!?」


予想もしていなかった、海影さんからのお誘い。
速まる鼓動に気付く由もなく、海影さんは話を続ける。


『何時までに帰ればいい訳?』

「えと…さっき父親に高速バスの時間調べて貰ったんですけど、遅くとも18時のバスには乗って帰ってきなさいって…」

『それじゃ、飯は厳しいか…』


ジーザス!
「日帰りで十分」なんて思った謙虚な自分が憎い!
小さな溜息混じりで「厳しい」と言う海影さんの声が、また悲しい。


『ま、見送りはしてやるよ。それに多分、ライが空いてる。なんならライに大学案内させるさ』


ライさん!?
私、ライさんとなんて面識ない!
初めての打ち上げで1度会ったきり、それも僅かしか会話していないのに!


「そんな!ライさんに申し訳ないです!」


私は必死で拒否する。
しかしながら、海影さんの方は全く気にする様子もなく。


『ああ、気にすんなって。ライに、真耶ちゃんがK大受ける話したら喜んでたし』
< 74 / 201 >

この作品をシェア

pagetop