海までの距離
「はい。次の日曜日、とんぼ返りですけども」
『俺、その日夕方から暇だわ。夕飯一緒に食うか?』
「えっ!?」
予想もしていなかった、海影さんからのお誘い。
速まる鼓動に気付く由もなく、海影さんは話を続ける。
『何時までに帰ればいい訳?』
「えと…さっき父親に高速バスの時間調べて貰ったんですけど、遅くとも18時のバスには乗って帰ってきなさいって…」
『それじゃ、飯は厳しいか…』
ジーザス!
「日帰りで十分」なんて思った謙虚な自分が憎い!
小さな溜息混じりで「厳しい」と言う海影さんの声が、また悲しい。
『ま、見送りはしてやるよ。それに多分、ライが空いてる。なんならライに大学案内させるさ』
ライさん!?
私、ライさんとなんて面識ない!
初めての打ち上げで1度会ったきり、それも僅かしか会話していないのに!
「そんな!ライさんに申し訳ないです!」
私は必死で拒否する。
しかしながら、海影さんの方は全く気にする様子もなく。
『ああ、気にすんなって。ライに、真耶ちゃんがK大受ける話したら喜んでたし』