海までの距離
ライさんとの待ち合わせが13時だから、大丈夫、十分間に合う。
バスの中でぐっすり眠ったせいか、“花の街・東京に来ました!”という感動がダイレクトに私を包む。
東京なんて、中学校の修学旅行以来。
空気は煙たく、空は白っぽい。
高いビルばかり、忙しなく歩く人ばかり。
その間をくぐって向かった池袋駅もまた、広大だった。
私にとっては、攻略難解なダンジョンのようだ。


「…分かんない…」


ぼそりと呟いた言葉は、雑踏に紛れて消えていった。
「一人で大丈夫!」だなんて見栄張って上京したのに、早速心細い。
とにかく、まずはライさんに会わなくちゃ。










やっとの思いでK大学前。時計は13時ぴったりを指している。
化粧、バスの中できちんとしておいて正解だったな。バスを降りてからじゃ、直している時間なんてなかった。
池袋に到着した時は余裕で間に合うと思っていたのに、まず池袋駅構内で迷い、次に乗り換えで迷った。
なんとかたどり着いたK大も、その広さにどこに行けばいいのか分からない。
ライさんは13時にK大の前にいると、海影さんが言っていた。


「そうだ、電話!」


海影さんから教えて貰った、ライさんの電話番号。
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