海までの距離
自家製なのか、バンズが甘い。レタスもしゃきしゃきしてて、ファーストフードには絶対にない味。
東京はこんなお洒落で美味しいお店があるんだ。
K大に入ったら、私も絶対また食べにこよう。
そんなことを思いながら、あっという間に食べきってしまった。
勿論、ライさんの分はとうにない。


「ご馳走でした!」

「いーえ」


食後の一服を始めるライさん。
何度見ても、普通の男の子。
海影さんは私服でいてもどこかバンドマンらしさがある。
今私の目の前にいるライさんは、“ビジュアル系なんてこれっぽっちも知りません”って感じだ。
元々ステージでの化粧も一番薄いけど、ステージを降りちゃえば面影が全然ないもの。
加えて、可愛い彼女だっている。


「ライさんは、いつからバンドやっているんですか?」


私の突発的な質問に、ライさんは一瞬目を丸くした。
だけど、すぐに見慣れてきたライさんの穏やかな顔つきに戻る。


「高校1年から色んなバンドをやって、今までずうっと」


ふわりと吐き出された煙。
< 83 / 201 >

この作品をシェア

pagetop