2番目の恋人


泣きたくない。



泣いちゃダメだ……



「莉緒、本当にありがとう。」


「っ……」



悲しい瞳を軽く伏せ、頬にあった手がそっと離れていった。



――ギュッ


「……莉緒?」



そんな手を、両手で握った。



このままじゃ皐が居なくなりそうで……



それが異常に怖く感じて……



気づいたら手を握っていた。



ギュウと皐の左手を強く握った。


温かい手を強く強く握り……感じた冷たく固い違和感。



そっと握る手を弛め、皐の手を見た。




……その瞬間、言葉を失った



「……んで。」



なんで………



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