2番目の恋人
叫ぶような声は、目覚めたばかりのあたしの頭には毒だ……
こんな朝から大声を出すのは、木地谷詩織[きちやしおり]。
あたしの親友で、母親みたいな存在。
唯一信じられる、大事な大事な友人。
「わかった。急いで行くから」
それだけ伝えて、電話を切った。
それからシャワーを浴びて制服に着替え、パンをくわえて家を後にした。
学校までの道のりは短く、すぐに着いてしまう。
教室は2階の2年3組。
――ガラッ
「「………」」
突然開いたドアに、少し驚いたかのような目であたしを見るクラスメイト。
「汐田!また遅刻かっ!!」
40半ばの数学教師が、黒板から少し目を離してあたしを見る
「すみません。」
一応は謝る。
棒読みだけど。