ぼくらのハーモニー Ⅲ
「クラリネット顔上げて吹いて。アルトサックスもっと出して。テナー強すぎ。バリトンもっと出して顔上げて。バスクライスの位置確認して。フルートもっと上げて。オーボエ音程注意。」
・・・分かった。
吹かないで聴くんだ。
そうだ。
柚希はそうだった。
自分が吹くよりも合奏では他の音・・・。聴かなきゃ!
「じゃあもっかいいくね。」
12 masaki toda
俺が・・・パーリー?
マジかよ。
先輩・・・どう思ってんだろう。
「戸田!」
「ハイッ!」
「どっちみてんの。」
「・・・すみません!」
・・・。
順番に演奏されていく。
打楽器のボロボロさが身にしみて感じる。
褒められたのは、俺と夏目だけ。
先輩までだめだしされていた。
「トライアングルもうちょっと高く持ちなさい。」
「はい。」
「スネア36小節目から強すぎ。ちゃんと強弱意識して。」
「はい。」
「では全員で通します。」
「ハイッ。」