超硬派彼女

喜ばせたい一心で

真琴をもっと喜ばせたい。


そんな一心で、俺は曲を書き、精力的にライブもこなした。


動員は徐々に伸びていき、即日ソールドアウトするハコも出てきた。


そんな時、レーベルの社長からこんな知らせが入った。


「やったぞ!今日ロニーレコードとの契約がまとまった。いよいよおまえたちもメジャーデビューだ!!」


「マジで!ついにこの日がきたな。やったな、健!!」


「あ、ああ・・・」


喜ぶ義春やメンバーを後目に、どこか乗り切れない自分がいた。


「俺らの音楽なんかがメジャーで通用するはずがない。恥かくだけだ」


元々俺たちはネットなどで


「V系史上最悪のバンド」


などと揶揄されることが多く、事あるごとに叩かれまくっていた。


特に殆どの曲を作ってる俺への評価は辛辣を極めた。


そういった評価の大半がやっかみ半分だとしても、叩かれる方はナイーブになる。


「また叩かれるのか・・・」


俺は真剣に悩むようになっていた。
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