飛べない黒猫
食事を終え、蓮は部屋に戻り、パソコンの電源を入れる。

打合せで受け取ったデーターを取り込む為だ。


デスクトップに【1件の受信メールあり】と表示が出た。
真央からのメールだった。




件名  命名
ーーーーーーーーー

ナオウオちゃん
クロウオちゃん


〔今日のナオ・クロ〕

ご機嫌





思っていた以上にシンプルだな…。

蓮は思わず笑った。


でも、これでいい。
メールを送ってくれた事が、最初の一歩。

少しずつ、少しずつ、自分の感じた事を伝えてくれればいいんだ。


送信時間は17:54
魚に餌を与え、報告のメールを打ち込んで…送信。

ひとまず、与えられた課題をクリアして、安堵し寝てしまったのだろう。



真央の顔を思い出す。

たこ焼きを美味しそうに食べていた。
その喜んだ顔が、あんまり可愛いもものだから、次々に買い食いさせてしまったのだ。

きっと…、あれだ。

親鳥が、大きく口を開けてぴーぴー鳴いてる雛鳥を見ると、餌を与えずにはいられない…そんな感じだ。


参ったな。
まるで…妹思いの兄貴じゃん。
父性愛の意味が、何となく理解できそうで怖いって。


蓮は、自分にも、こんな感情が生まれたことに驚いていた。

誰にも近づかない野良猫が、自分だけになついた時の優越感なのか。

野良猫に例えるのは失礼だよな…
だって、彼女は由緒正しい血統書付きなのだから。

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