飛べない黒猫
打ち合わせが終わって家に戻り、蓮は冷蔵庫の中を覗いていた。

今日は完全OFFのつもりでいたが、結局、仕事の依頼が入って出かけていたのだ。


「コンロのお鍋の中に、ロールキャベツが入ってるわよ。」


洋子が居間から声をかけた。


「やった。
飯、食いそびれたんだ…。」


蓮はどんぶりに御飯を盛り、鍋ごとロールキャベツを持ってテーブルに置いた。
御飯の上にロールキャベツを乗せて食べ始める。


「やだ!もう…
なんて食べ方たしてんのよ。」


洋子が顔をしかめる。
冷蔵庫からサラダを取り出して蓮の前に置いた。


「お行儀が悪いわね、いい大人が!
…お茶入れる?」


「親の顔が見てみたいでしょ。
…熱い番茶をお願いします。」


「見なくてもわかるわよ、きっと美人ね…」


笑いながら洋子はキッチンへ消えた。


「あっ、それ、全部食べないでね。
真央ちゃんの分も残して。」


「えっ?まだ食べてないの?!」


蓮は時計を見る。
もう10時になるところだ。


「御飯出来て呼びに行ったら、寝てたの。
疲れたのね、ふふっ…いっぱい冒険したから。
お腹が減って起きてくるかもしれないでしょ?
用意して置いておこうと思って。」


洋子が急須と湯呑みを盆に乗せて運んできた。
二つの湯呑みに交互に茶を注ぎ、1つを蓮に差し出し、もう1つは自分が飲む。


「2人が仲良くなってくれて、お母さんは、めちゃめちゃ嬉しいのよ。」


洋子は幸せそうに笑った。
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