飛べない黒猫
身体がガクンと揺れた。
頭の中が真っ白になり、気がついたら、肩に手を置いた真央が、俺の顔を覗き込んでいた。
「俺は、その犯人の子供…?」
誰に聞くでもなく、つぶやく。
「なんだよ…
否定しろよ!」
思わず張り上げた声が震えて、喉が詰まる。
誰も、何も言わない。
真央の手に力が入った。
俺は肩に置いた真央の手を見て…顔に視線を移す。
ほんの数センチまで近づいた真央の目は、曇ることなく俺を見つめていた。
「俺って、いったい何?」
何も見えなかった。
何も聞こえない…。
蓮は立ち上がりフラフラとその場を離れようと歩き出した。
「蓮…」
洋子は泣いていた。
でも、しっかりと蓮を見つめ、はっきりと言った。
「蓮は、あたしの子供なのっ…
お腹の中で、ちゃんと生きている我が子に、愛情を感じない母親なんていないのよ。
元気にお腹を蹴った赤ちゃんを愛おしく思い、大切に大切にはぐくんだわ。
生まれてきた男の子は、あたしにそっくりな顔で…
蓮の成長が、あたしの生きていく糧になったのよ。
蓮、あなたの親は、あたし。
あなたは、あたしの自慢の息子。
それだけなのよ…」
母親の声が遠くから聞こえているように感じる。
耳には入ってくるものの、留まらずに通り抜けていく。
蓮は振り向かずに、そのままドアのノブに手をかけた。
「蓮っ!あなたは、あたしの子供なの…」
洋子が絞り出すように叫び、後に嗚咽が聞こえてきた。
蓮は一瞬手を止めた。
…が、視線を落としてゆっくりノブを回し、居間を出て行った。
頭の中が真っ白になり、気がついたら、肩に手を置いた真央が、俺の顔を覗き込んでいた。
「俺は、その犯人の子供…?」
誰に聞くでもなく、つぶやく。
「なんだよ…
否定しろよ!」
思わず張り上げた声が震えて、喉が詰まる。
誰も、何も言わない。
真央の手に力が入った。
俺は肩に置いた真央の手を見て…顔に視線を移す。
ほんの数センチまで近づいた真央の目は、曇ることなく俺を見つめていた。
「俺って、いったい何?」
何も見えなかった。
何も聞こえない…。
蓮は立ち上がりフラフラとその場を離れようと歩き出した。
「蓮…」
洋子は泣いていた。
でも、しっかりと蓮を見つめ、はっきりと言った。
「蓮は、あたしの子供なのっ…
お腹の中で、ちゃんと生きている我が子に、愛情を感じない母親なんていないのよ。
元気にお腹を蹴った赤ちゃんを愛おしく思い、大切に大切にはぐくんだわ。
生まれてきた男の子は、あたしにそっくりな顔で…
蓮の成長が、あたしの生きていく糧になったのよ。
蓮、あなたの親は、あたし。
あなたは、あたしの自慢の息子。
それだけなのよ…」
母親の声が遠くから聞こえているように感じる。
耳には入ってくるものの、留まらずに通り抜けていく。
蓮は振り向かずに、そのままドアのノブに手をかけた。
「蓮っ!あなたは、あたしの子供なの…」
洋子が絞り出すように叫び、後に嗚咽が聞こえてきた。
蓮は一瞬手を止めた。
…が、視線を落としてゆっくりノブを回し、居間を出て行った。