Rose of blood *short story*
『大丈夫だよ、エリーの教えの通りにする。伯爵様には逆らわない。ちゃんと戻ってくるから泣かないで』

「アッシュ…」



俺から体を離し、自分で涙を拭うエリーに初めて俺から抱きついた。


エリーの腕が俺の背中に回り、体を包んでくれる。



「私はアッシュが戻ってくるまで、ここでずっと待っているから。今日は一緒に寝ましょう」

『本当?いつも一人で眠るのは寂しかったんだ』

「二人で眠ればいつもよりぐっすり眠れるわね」

『うんっ』



本当は怖かった。


伯爵様に会って何をされるのか…。


でも、今不安な顔を見せれば、エリーに心配をかけてしまう。


大丈夫…大丈夫……自分を落ち着かせるために、ずっと"大丈夫"という言葉を繰り返し心の中で唱えた。






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