Rose of blood *short story*
*****


エリーは毎日毎日俺の部屋を訪ねて来てくれた。


自分の子供の様に接してくれる。


記憶はなくしてしまったし、売られてしまったけど、エリーのおかげで毎日幸せだった。



コンコンコンッッ


「失礼致します。ご主人様からのお言葉を申し付かって参りました。本日晩酌の際に貴方様をお連れするようにとのことですので、こちらにお着替えになってお部屋でお待ち下さいませ」



何の感情もない話し方をする女の人は、言い終わると服を置いて早々に部屋を出て行ってしまった。



『今の……エリー?』



エリーは今にも泣きだしそうな顔をしていた。


俺と目が合うなり、いきなり抱きしめられた。



『エリー!!痛いよ!!』

「ッッ……とうとうこの日が来てしまった…伯爵様にお会いする日が………」



涙を流すエリーの背中をさすった。


エリーの涙は嫌だ…笑っていてほしい……。






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