Rose of blood *short story*
『分かった!お前の名前は今日からカインだ』

『…カイン?』

『ただの思い付きだ。カイン、俺と一緒に来い』



誰かを簡単に信頼してはいけない…。


この男はどうなんだろう。


このまま捨てようと思っていた命。


流れに身を任せ生きてみるのもいいかもしれない。



『そんな状態じゃまともに歩けねぇな。ほれ!これを飲め』

『……血』

『俺ぁずっと一人で旅してっから、非常食みてぇなもんだ』



コップに注がれた真っ赤な血を受け取り、俺はそれを一気に飲み干した。


エリー以外の血を飲むのは初めてで、変な感じがした。



『立てるか?』

『…あぁ』

『子供のくせに表情がピクリとも動かねぇで、可愛気のねぇやつだな』

『…………』



俺の感情はエリーと共にある。


エリーがいないなら、俺には感情など必要ない。


汚れた俺には…。


俺はジオラの後ろに続き、新しい人生を歩き始めた。





fin.
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