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{ねぇ、高弘?}


{なんで何も聞かないの?}

{どんな仕事してる?とか}

{どんな家族がいるとか}



{どんな過去があるとか}



[そんなの関係ねぇじゃん]


{え!}


[朱莉がどんな仕事してようが]

[どんな家族だろうが]


[どんな過去があろうと]


{俺は朱莉が好きだよ}


[興味がないとかじゃなくて]


[どんな朱莉でも受け止めたいって思ってるし]



[それに話したかったら自分から話すだろ?]



[話したくないこと無理に言う必要ないし。]


[無理に聞きだす必要もないよ]


そう言うと高弘は公園の方へ歩いて行った。

夜の公園は風が強い。



公園は外灯はひとつしかない。



夜景が公園のメインライト。

あたしがベンチに座ると

高弘はあたしのひざを枕にして横になった。


{ねぇ高弘。}


ん?


{あたしの話し聞いてくれる?}



うん。



あたしは仕事をうつ病のせいで休業してること。


家族のこと



リスカのこと


今まで自分に起きたこと全てを話した。




そっかぁ。


高弘はその一言しか言わなかった。


高弘は起きあがり

今度は、私を自分のひざに寝かせた。



大きな手で私の頭をなでた。



私が下から高弘を見上げると


高弘は私に優しくほほえんだ。


楽しいことたくさんしような。

{え}


[いままで楽しいこと、生きててよかったと思うことなかったんだろ?]


[じゃあこれから二人でたくさん楽しいことしような]


[うん]


《高弘の優しさが伝わってきた》
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