I LOVE YOUが聴きたくて
怜樹は、限界だった。
あれ以上いたら、魅麗に涙を見せてたかもしれない。

車に乗った途端、涙が出てきた。

涙を拭いながら、車を走らせていた。

怜樹は、現実に愕然としていた。

【俺の子ども…か…】

子どもは好きだし、嬉しくも思っていた。

しかし、ショックも大きかった。


怜樹は、泣きながら、車を走らせていた。




海辺のアトリエに着く。

怜樹は、何も考えられなかった。

うなだれる様な重い気持ちで、部屋に入った。

【ショック……何がこんなにショックなのか。魅麗が、よそよそしかったから?……子どもがいたから?………いや、違う……】

勿論、確かに驚いた。
だれど、それがショックだったんじゃない。

それよりも、ショックなことは別にあった。

それは、怜樹にとって、遥にショックなことだった。


そう思った途端、怜樹の中で何かが爆発した。

「うわーーー!」

怜樹は、今までにない、とてつもない叫び声を上げた。そして、泣き叫んで、部屋中に置いてある自分の絵を投げた。

物に当たり散らした。

怜樹は、苛立ちをぶつける様に、自分自身にぶつけるかの様に、自分の描いた絵を投げ散らかした。

手当たり次第に投げまくる。

部屋中は、瞬く間に、無惨に破れ散らばった絵画や壊れたもので、荒れ果てた。


怜樹は、もう、どうでもよくなって、その場に座り込んで、うなだれたのだった。
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