Mind of ice

魔女

「私は大丈夫です。それより、テレポに備えてっ!」

紛れもなくリーナであった。が、感動している暇はない。一撃で倒せなかったトロルキングが二撃目の動作に移ったし、トロルとオーグ達も作戦失敗に気付いたか、一斉に攻撃に転じたからだ。
デイル達は皆リーナのそばに寄ってテレポに備えた。
近づくトロルとオーグと渾身の二撃目がくる中ただ待つ恐怖。構えたい衝動と戦っていたデイルには長く感じたが、実際は一瞬のもので直ぐにリーナの声が発せられた。

「いきますっ!」

かけ声とともにテレポ独特の光が差し込んだ。
一瞬、こんな状況で魔法を発動したら確実に失敗してしまうのでは?
と、心によぎってしまったデイルはおもむろにリーナに目線を向けたが、視線に気付いたのかリーナはニコリと微笑んだのち、ゆっくりと頭を振ったのである。まるで失敗はしないと言わんばかりに…。
それを見たデイルが覚悟を決めた次の瞬間、更に眩い光が差し込みテレポが発動した。

トロルキングの二撃目は誰もいなくなった場所に下ろされた。
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