Mind of ice

魔族

森の奥から人影が出てきたら、それはやはりセリアであった。あり得ない光景に一瞬攻撃の手が止まったデイル。それとは対照的に攻撃を止めないベルガス。そして遂に、その攻撃は「絶対障壁」を貫通していた。
重量感のある一撃が華奢なリーナに当たる寸前、なぜかデイルはその攻撃を防いでいた。
重い攻撃を刀身で受けたデイルは、自分の行動に戸惑っていた。

「フレアバースト!」

「っ!」

背後からの火系最高魔法が放たれる。不意打ちに焦ったデイルだったが、それは杞憂に終わり目標はベルガスだった。
紅蓮の炎に包まれたベルガスは断末魔と共にその場に崩れ倒れた。

「良かった。無事だったのね。」

そう言って森から現れたセリアが近寄ってきた。

「あれ、魔物らしいよ。」

そう言ってベルガスを指差すセリア。デイルは指差す先を見たら、炎に焼かれたはずのベルガスではなく、オーグがそこに倒れていた。

「き、貴様何者だ?!」

セリアだったはずの人物は叫んだ。叫びながら容姿が変化した。そこに現れたのは、赤い長い髪をなびかせ、やはり赤い目をした綺麗な人物だった。

「………」

デイル1人だけが取り残されていた。それを悟ったリーナは優しく語りかけた。

「まずは、セイレーンを倒してから。その後に全てをお話します。」

デイルは小さく頷くとセイレーンに刀身を向け攻撃態勢をとった。

「ふん。人間ごときに何が出来るものか。」

デイルはその言葉の意味が解らなかったが、

「彼女、魔族なので注意してくださいね。」

ニコッとリーナは笑ってそう言ってくれた。
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