Mind of ice

それは、たまたま通った所に、古びてはいたが人の出入りがあった小さな酒場を発見したので、情報入手の為にその扉を開けた。
中には数人の客がひっそりと飲んでるだけの、活気がない酒場だった。

(何か、やな感じ。さっさと聞いて退散しよ。)

そう思いながら、空いていたカウンターに座った。座ると、無愛想なマスターに、この地方の地酒を頼んだ。数分後、ここの地酒特有の甘ったるい匂いがするお酒が目の前に出てきた。
セリアはそのお酒を軽く飲むとマスターを呼んだ。

「この辺で、サリトの森に関して詳しい人知らない?」

「さぁ、私はそう言うのはてんで解らないんですよ。すいませんね。」

お話にならない…。
このままここにいても情報が得られそうもないので、酒代を置き店を出た。その直後、共に出てきたであろう客がふいに近寄ってきた。

「お嬢さん、サリトに関して情報が知りたいのかな?」

見た感じ、どこにでもいそうな冴えない男であった。
警戒しながらも、見た目やナリが盗賊まがいか何かの様であり、もしそうだとしても自分1人でどうにかなると判断した。
それでも、それなりの警戒ははらいつつ質問に答えた。

「あなた、何か知ってるのですか?」

「ここではなんです、あちらのお店で。」

男はそう言うと、更に路地に入った所にある、胡散臭い占いの館を指さしたのである。
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