Mind of ice

出発

街の入り口にある大きな噴水の前でただじっと待ち続けるデイル。来るという保証は無いが、何故か待ち続けていた。

「彼女本当にくるのかしら?そもそも来るとも言ってないのに…」

先ほどデイルを呼びにきた女性で、パーティーの一員であるセリアはくるかわからない人物を待つデイルにそう告げた。
確かにセリアの言うとおりである。あの少女は一言も行くとは言っていない。というか会話すらしていないのである。これ以上待つと森に着くのが遅くなる。
セリアが持ってきたサリトの森に対する情報…

「あの森には、強力な魔法がかかっていて、日付の変わるその時に森の外から中に向かって瞬間移動すれば森に入れる。それ以外の方法で入るとただの森でしかない。ただし、入ったものは帰ってきてない。」

かなり怪しい情報だが、確かに普通に向かうとただの森でしかないことは確認済みである。

これ以上待てない時間まで待ったが、やはり少女は現れなかった。仕方なく街を後にするデイル達。セリアもちらっとは見ていたが、デイルが出発前に突然

「人を待つから、それからの出発にしたい」

と、発言したときはビックリした。聞けばかなりの魔法使いとのこと。とてもそうには見えなかったので反論したがデイルは頑固に待つと譲らなかった。
彼の勘と瞬時の判断力は一緒に旅をしているみんなが良く知っている。そのおかげで今を生きていられると言っても過言ではない。そんな彼の勘も今回はさすがに外したかなと思うのであった。
< 4 / 51 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop