おとぎの国で恋すれば
1 花のお姫様
夜中の12時になる前、
わたしは確かに
自分の部屋にいた。
おんぼろアパートの
一番安い部屋に。
両親のいないわたしは、
学費を払えず高校をやめた。
それから毎日働く日々。
年頃の女の子の唯一の服は
おばあちゃんがつくってくれた
クタクタの黒ワンピース。
一文無しの
可哀想な少女。
暗い夜にひとり
17歳を迎える
ハズだったのに。
…12時になった瞬間、
目の前には
美しい花園が
広がっていた。