おとぎの国で恋すれば




「ようこそオトギの国へ。
アリスさま。」


「へ…?」






それはとても
おかしな状況だった。


綺麗なみどり色の芝生に
仰向けに寝転がっている
わたし。


そんなわたしの顔を
上から覗きこむ
白いワンピースの少女。


風は…
きっと春の風。


目を丸くして
固まっていたわたしは


我に帰って
飛び起きた。


「ここは…?」


―ちょっとまって
わたし今まで
自分の家にいたはずだよ…


急いで腕時計を
確かめてみると、

どちらの針も
12を指している。


「ここは、
オトギの国でございます。
アリス姫さま。」


「オトギの国?
…姫…?」


「はい」


わたしが
顔をしかめて尋ねると


彼女は満面の笑みで
そう答えた。


キラキラとした眼差しで。


憧れの眼差しで。







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