薄桃の景色に、シルエット。
 歩き出すと、少し向こうに家が見えた。

 灯りのともったその家の前でそわそわしていた何かが、私の姿を捕えたかのように慌てて家の中へ入っていった。

 あの体躯は……お父さん。

 温かい何かが込み上げて来て、でも言葉にならなくて。家に向かって足を進めた。

 私の全てが始まったその場所へ。

 私の事を待っててくれる人達の所へ。

 ただ、歩いていた。


* * * E n d * * *


 本当は明るい話を書くはずだったのに、結局暗くなってしまいました。

 最終バスに乗りながら、乗客はただ一人という点だけノンフィクションな話なのでした。

Writing by 09/11/28
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