【BL】風鈴が鳴る頃に[短編]
「じゃあ諒くん、俺に喧嘩を売りたいなら嫌いな二次関数の問題を解いてからにしようか。最大値の出し方ぐらい分かるよね?」


俺は先生らしい口調で諒に話しかける。ちょっとした仕返しだ。言われっぱなしとか、そんなの嫌だろ?


「……先生、1つ勘違いしてます」


おっと、まさかの展開。


「僕は二次関数が、だ・い・き・ら・いなんです。だから分かる訳がないでしょう?先生」


……大嫌いなのね。ちょー嫌いなのは今のお前の言い方から十分分かった。
てか最後ら辺の偉そうな態度ムカツク……クソッ……なんなんだコイツッ。


俺は気がつくとまた笑っていた。今日は本当、自分でもびっくりするぐらい笑ってる。やっぱ律のダチなだけはあるなっ。


「なんかお前ムカつくわ。でも俺、お前みたいな奴結構好きだぜっ。
ははっ、そのどや顔……マジ最高ッッ」

「その無意識どうにかならない訳……。俺はまぁ……お前みたいな奴、かなりタイプだけど……」

「えっ、ぁ、なっ何言っちゃってんの!??ちょっお前まさか依…」

「ははっ、律は落ち着きねーな!!お前らウケる、コンビ組めよ」

「はぁ、何で俺がスポーツ馬鹿なんかとコンビ組まなきゃならない訳。だったら依乎、お前と、」


そんな馬鹿みたいな会話が続く。楽しいからいいんだけど。でも今思った、こんなうっさい空間でさっきからスリーピング学習を続けている田中の存在。



コイツ、一番最強かも!!



俺が律と諒にその事をいうと、再び笑いが起こった。







ーーリーンリン リーンリン……





風鈴が鳴る。

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