エールミー!
***


こうたくんと別れて、私と咲坂くんは音楽室にむかった

その間、私はできる限り話題を自分から振った

何か話していないと、さっきのことを思い出して、また声が震えるから


音楽室に着いた

いつもは此処までの道のりは、咲坂くんと一緒に行くと一瞬のように感じるのに
今日はすごく、長く感じた


「沙田ちゃーん!」

音楽室のドアを開けると、理乃さんが飛びっきりの笑顔で駆けつけてくる

咲坂くんと二人っきりがやっと逃れられ、私は気持ちがだいぶ軽くなった

「お、皆来たのか!じゃあ早速最終リハーサル始めるぞー」

会長が顔をくしゃっとさせて笑った

その隣には陸先輩
…?陸先輩?

陸先輩は私のことをじっと見ている

無意識に、自分の顔になにか付いているのか確かめた

「沙田ちゃん…なんかあった?」

「えっ」


どうしよう、さっきのことで落ち込んでるの、顔に出てたかな…

「いや、なんか…疲れてるのかなって…」

「そんなこと無いですよ…」

「そう?ならいいけど…なんかあったらいってよ?一応俺、先輩なんだし」

「…はい」

背は私より小さくても、あの背中はやっぱり男の子だった…
ちゃんと、先輩の背中だったな…

「んじゃあ各自楽器を持って定位置についてー」


会長のその言葉で、私と陸先輩は別れた

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