慟哭の彼方


自身を指差しながらそう言うのは、どれほど勇気がいったことだろう。

そんなことも知らず、アルスは。


「ま、じょ……?」

怯えたのだ、チェルシーに。


思わず後ずさった自分を責めることのない表情は、これ以上ないほど哀愁の詰まった笑みだった。

それをさらけ出さないことが子どもらしくなくて、余計に惹かれた。


魔女に対する恐怖とチェルシーに対する想いが、アルスの中でない交ぜになる。


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