慟哭の彼方


彼の願い事なんて、あの時から決まっていた。

チェルシーが店を開いてみんなの願い事を叶える前から、ずっと決まっていた。


これ以上彼女に負担をかけるのが嫌で言いだせなかった願い事。

だけど今しか言う時は無いような気がした。


「オレがいつも言っているルールを知っているのか」

「もちろん」

何年あんたを見てきたと思ってる。

ルールも何もかも、とうの昔に頭の中だ。


幾度となく逡巡して、ようやく動いたその唇が言葉を繋ぐ。


「あなたの、願い事は…?」

「俺の願い事は……」


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