慟哭の彼方
リイアと話したことで、チェルシーの表情はさっきよりも穏やかになっていた。
けれどもこの頃の急激なやつれ具合は彼にもばれてしまったらしい。
「ど…どうしたんだよ、その顔…」
片腕を握り締め、じっと恐怖に耐えるような顔つき。
なのにチェルシーはきょとんと首を傾げ、何のことかわからないと彼を仰ぐ。
普通ならかわいらしいその仕草が、恐ろしいものにしか見えなくて。
「どうした、ハイゼル?」
落ちくぼんだ目と、こけた頬に釣り合わない笑顔。
込み上げる何かを抑えようと必死だったのはきっと、アルスもハイゼルも同じだった。