片翼の天使(短)
映画やドラマでも見ているよう…。


結局2人は、その後も人目を避けながら会っていた。


そんなある日、突然2人に強い光の粒が、雨のように降ってきた。

その光と共に、男性とも女性とも思えるほどに、美しい姿をした人が現れた。

『ヤハヴェ!!』

天使が、その人の名前らしき言葉を発する。

『お前がグリゴリのような真似をするとはな…
裏切られた気分だ。
禁忌を侵す者が、その後どうなったか知ってのことか?』

すべてを一瞬で凍り付かせるような声。

…こわい。

『神…ですか?
ならば、メタトロンは用無しです。
私は聖術を手に入れたい。そのために彼に近づき、子を授かろうと思っていました。
しかし、神が目の前にいるなら、直接お願いした方が早い。
神よ…私に聖術を授けて下さい。』

女の人が言った。

もしかして、天使を利用していたの?騙して、自分が欲しい力を手に入れようとしたの?

酷い。

『ユリア…俺は大事な人に罪を押し付けるなんて出来ない。ありがとう、辛い事を言わせてしまったね。』

『何を言ってるの?もう用はないの。早く消えて。』


そう言うと、光の方に歩き出した。

『ダメだ!!』


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