片翼の天使(短)
『俺に心?』

頷くことしか出来ない。声を出したら泣き出してしまいそうだから。

『ユイも優しいよ。最初のユイに出会った時、ユリアと似た光を感じたんだ。ユイが生まれ変わるたびに探すんだけど、必ず見つけることが出来たのは、その光があったからなんだよ。』

ここでユリアと似てるって言われるのは、結構残酷だな…。

『私は、ユリアほど強くないよ。誰かを愛するために、自分から未知の世界に向かって歩き出すことなんて出来ない。』

涙を必死で堪えなが答えた。

『ユイだって強いよ。今まで出会ったユイも、みんな周りを大切に想える強いユイだったし、今だって、家族や友達を1番に考えてあげられるじゃん。俺は、自分以外の人を大切に想えるのって、充分強いって言えると思うけどね。』

そこまで言えるキラ。羽根を戻せる力があるよね。


別れが近いんだよね…。


隠そうとした涙が溢れ出して、止めることが出来なかった。

天使と人は恋愛が出来ない。でも、私の想いはユリアには敵わないから、関係ない掟。


私は“恋”だけだから。


キラと私は“愛”にはならないから。

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