片思いの続きは甘いささやき
何もかもを消すかのように、安心と未来への幸せな予感に包まれながら、喬はひたすらに雪美を見つめた。
それまでにも見つめあう事はしょっちゅうだったけれど、少なくとも喬には雪美の中に残っている濠への残影を感じながら・・・そんな切なさを抱えながらだった。
そんな複雑な思いも全て払拭するように、無意識の雪美の態度が喬の全てを解放した。
一瞬で。
自分を・・・自分一人を頼る雪美を見て。
体だけではない雪美をやっと手に入れたと感じた。
そしてそれが合図になったかのように、周囲が呆れるくらいに雪美への愛情を素直に出した。心から愛していると、他のだれでもない、雪美だけを傍におきたいと願っている事を隠そうとせず。
雪美にしても、喬のそんな態度にしばらくは戸惑っていたけれど、戸惑いよりも、喜びの感情のほうが大きかったんだろう、素直に喬への愛情を見せた。
柚からの感謝の気持ちを伝えられた後、いったん仕事に戻った雪美だったけれど、日付が変わる頃には喬のマンションの寝室のベッドで激しく抱かれていた。
お互いにお互いが一番大切だと分かり合えた後に抱き合う事がこれほどに幸せな事だと感じながら、何度も何度も違う世界を漂った。