片思いの続きは甘いささやき
呆れたような雪美の口調に、一瞬イラッときた喬は前方に見えてきたアマザンの高い建物に向かってアクセルを踏み込んだ。
自分だけが抱きたいのかよ・・・
初めて女の子と付き合うような無茶苦茶な苛立ちをどうするでもなく顔をしかめながら。
隣の雪美に顔を向けると。
あ?
なんだよ。真っ赤じゃないか・・・。
ぎゅっと結んだ口元は、どう見ても嬉しそうに口角は上がったままで、赤く染まった頬は幸せに比例した体温の上昇が感じられるし。
そして何より。
ほんの少し潤んだ瞳は、まっすぐ前を見据えながらも喬を意識しているのか揺れている。
繋いだ手だって力いっぱいにぎゅっと握りしめたまま。
「・・・嘘つき」
ふふんと意地悪な声で、喬も前方を見据えながら。
近づくアマザンの玄関のロータリーにゆっくりと車を入れた。
「さ、着いたぜ。存分に仕事してこい」
「あ・・・うん」
何もなかったかのように淡々と話す喬に不安を感じた雪美は、固まったまま車から出られない。
「喬・・・?あの・・・」
「ん?」
「待っててくれる?」
どことなく頼りなげな口調に、雪美が戸惑っているのは簡単にわかる。
なんに対しても動じることの少ない雪美のまるわかりな感情をむけられた喬。
雪美の頭を抱え込むように引き寄せると、耳元に熱い吐息を漂わせながら
「嘘つき。・・・お前も俺に抱かれたいくせに」
「・・・っ」
「嘘つかれるのは腹立つけど、雪が頬染めた顔見られてラッキーだったし。待ってるから。ちゃんと仕事して俺の部屋に帰ってこい。早くな」
言い終わった途端、かすめるようなキスを落とされて、びっくりした雪美は更に顔を赤くしながらも、嬉しそうに目を細めた。
二人して見つめあうほんの数秒。
お互いがちゃんと想いあっていて寄り添える幸せをようやく手に入れた二人。
それぞれに片思いに苦しんで涙して諦めて。
相手を変えて、再び片思いは続いていくのかと切なさに震えた夜も少なくはないけど。
あんなに悲しかった片思いの続きに待っていたのは。
こんなにもこんなにも温かい今。
両想いっていう軽やかな言葉の続きがそのまま変わらず延々と続くように、もう一度。
二人は唇を重ねた。
【fin】
自分だけが抱きたいのかよ・・・
初めて女の子と付き合うような無茶苦茶な苛立ちをどうするでもなく顔をしかめながら。
隣の雪美に顔を向けると。
あ?
なんだよ。真っ赤じゃないか・・・。
ぎゅっと結んだ口元は、どう見ても嬉しそうに口角は上がったままで、赤く染まった頬は幸せに比例した体温の上昇が感じられるし。
そして何より。
ほんの少し潤んだ瞳は、まっすぐ前を見据えながらも喬を意識しているのか揺れている。
繋いだ手だって力いっぱいにぎゅっと握りしめたまま。
「・・・嘘つき」
ふふんと意地悪な声で、喬も前方を見据えながら。
近づくアマザンの玄関のロータリーにゆっくりと車を入れた。
「さ、着いたぜ。存分に仕事してこい」
「あ・・・うん」
何もなかったかのように淡々と話す喬に不安を感じた雪美は、固まったまま車から出られない。
「喬・・・?あの・・・」
「ん?」
「待っててくれる?」
どことなく頼りなげな口調に、雪美が戸惑っているのは簡単にわかる。
なんに対しても動じることの少ない雪美のまるわかりな感情をむけられた喬。
雪美の頭を抱え込むように引き寄せると、耳元に熱い吐息を漂わせながら
「嘘つき。・・・お前も俺に抱かれたいくせに」
「・・・っ」
「嘘つかれるのは腹立つけど、雪が頬染めた顔見られてラッキーだったし。待ってるから。ちゃんと仕事して俺の部屋に帰ってこい。早くな」
言い終わった途端、かすめるようなキスを落とされて、びっくりした雪美は更に顔を赤くしながらも、嬉しそうに目を細めた。
二人して見つめあうほんの数秒。
お互いがちゃんと想いあっていて寄り添える幸せをようやく手に入れた二人。
それぞれに片思いに苦しんで涙して諦めて。
相手を変えて、再び片思いは続いていくのかと切なさに震えた夜も少なくはないけど。
あんなに悲しかった片思いの続きに待っていたのは。
こんなにもこんなにも温かい今。
両想いっていう軽やかな言葉の続きがそのまま変わらず延々と続くように、もう一度。
二人は唇を重ねた。
【fin】


