素敵男子製作中
「葉山君、おはよう」
3年生になって間もなくのある日、
僕がげた箱で靴からスリッパに履き替えているとき、
誰かが僕にこう挨拶をしてきた。
それが花岡さんだった。
これまで誰か、ましてや女子から挨拶されたことなんて
ほぼ皆無だったから、
驚きで黙ってしまった。
「あれ・・・?
名前・・・
葉山君であってるよね・・・?」
「そ、そうですけど・・・・」
「良かった。
葉山君、黙っちゃったから、
もしかして名前間違えちゃったかと思った」
「・・・・あ、いえ・・・・」
女子と話すことに全く馴れていない僕は
上手く受けこたえることができなかった。
それでも花岡さんは
嫌な顔一つせず僕に微笑みを向けた。