素敵男子製作中


「葉山君、おはよう」



3年生になって間もなくのある日、
僕がげた箱で靴からスリッパに履き替えているとき、
誰かが僕にこう挨拶をしてきた。



それが花岡さんだった。



これまで誰か、ましてや女子から挨拶されたことなんて
ほぼ皆無だったから、
驚きで黙ってしまった。



「あれ・・・?

名前・・・
葉山君であってるよね・・・?」



「そ、そうですけど・・・・」



「良かった。

葉山君、黙っちゃったから、
もしかして名前間違えちゃったかと思った」



「・・・・あ、いえ・・・・」



女子と話すことに全く馴れていない僕は
上手く受けこたえることができなかった。



それでも花岡さんは
嫌な顔一つせず僕に微笑みを向けた。



< 4 / 58 >

この作品をシェア

pagetop