SWEET BUTTERFLY
振り返るよりも先に、私の瞳に映った深川さんの頬が染まるのを私は見逃さなかった。
「若月さんの何倍もお前のほうがたくましいっつーの。」
からかうように笑った声。
もう、顔を見なくても誰なのかハッキリ分かる。
「ひっどぉい」やけに可愛い声の深川さん。
「ね?若月さんだってこいつの事をたくましいと思うでしょ?」とゆっくり私の顔を覗き込んだ小関君は少し眠たそうな目がとろんとしていた。
「小関君?どうしたのこんな時間に?」
答えずらい話題からすぐに話しを逸らした私に
彼はクスクス肩を震わせて笑った。
「寝てたんだけど、目が覚めちゃって買い物しに来たんですよ。」
「そう、私はもう帰るから…」そう言ってすぐに事務所に隠れた。