Color



わざわざ手伝ってくれたその優しさに、隣でドキドキしていた。

全てが片付いて、お礼を言う前に、先輩は図書館を出て行った。

それから、お礼を言わなきゃと思い、辰先輩を目で追っていた。

偶然、ひとりでいる先輩を見かけたあたしは勇気を振り絞り声をかけた。


『あ、あのっ…』

『…ん?』

振り向いた辰先輩の顔を見た途端、顔が一気に熱を帯びた。


『こ、この前は…て、手伝ってくれて、有り難うございました!』

噛み噛みで伝えたお礼は、今までで1番最低な有り難うだった。


『…あぁ!あん時の子か』

『た、助かりました…』

『気にしなくていいのに』

そう言った先輩は、柔らかく微笑んだ。





< 210 / 309 >

この作品をシェア

pagetop