最低の恋を、してみました。
「あたし、帰る」



あたしは急に立ち上がった。



「何で?まだ時間も早いし、もうちょっといてよ」



腕を引っ張られた。



ナオも立ち上がって、あたしを抱き締める。



どうしたらいいのかわからへんかった。



抱き締められ慣れてない。



自分の腕をどうしたらいいのかもわからへんかったし、目線をどこに向けたらいいのかもわからへんかった。



ホンマはナオの背中に腕を回せばいいんやろうけど、身体が固まって動かへん。



目線も落ち着かへん。



キョロキョロする。



さっき掃除してた時には下ばっかり向いてたから気付かへんかったけど、正面を向いて見えたものがあった。



あたしは、ナオに抱き締められながら、それらを見ていた。
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