秘密な結婚
彼は飛び出してきた私を
目を大きく見開いて
驚いた顔で、咄嗟に抱き止めた。
「お…っと!
わ、びっくりした…。危ないよ、紗和。
転ぶだろ」
私は彼の胸に顔を埋めて、今、ある事が、本当に現実なんだと実感する。
………顔を上げて彼を見上げる。
そこには少し困ったような彼の笑顔。
……全然、違うわ。つい先ほどまで、会社で見せていた険しい表情とは。
「……紗和?」
ボーッと見惚れる私の頬に
軽く温かい手で触れながら
課長は首を傾げる。