ナツの夏



「瑠璃姉が、いつでも帰って来られる場所で在ろうってね。これなら俺にもできる」


「帰ってら来れる場所…」




その言葉を噛み締める。


何も考えていなかったなんて嘘じゃないか。


こんなにも皐月は…




「走り疲れた瑠璃姉が、安心して休める場所でいたいと思ったんだ。それが、俺にできる瑠璃姉への愛情表現」




大切な人のために、こういう勇気を出せる人がいるんだ。


ああ。


どうしてこうも皐月は、温かいのだろう。切ないのだろう。私の胸を締め付けるのだろう。


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