一番近くに君が居る

「オレが面倒、見てやってもいいけど?」





「…おまえ、今日もココと帰んのか?」


放課後を迎え、ジロリと睨まれながら翔は直哉に尋ねられる。


「あぁ、もう逆に当然の事みたいだったな。ダメな日は教えてねーみたいな」

「 ‼ 」

「じゃあオレはココを待たせちゃ可哀想だから行くわ。おまえは部活頑張れよなー」

そうわざと煽るように翔が言ってやると、直哉はいつも悔しい!と、素直な反応を返す。それがまた日々の楽しみの一つであるのはニヤリとする翔。

実際ココに恋愛感情なんてこれっぽっちも抱いてない翔であるためそんなに警戒しなくてもと思うのだが、その警戒心があるからこそのこの反応だというのを忘れてはいない。

「ココは可愛いからなー」なんてわざと直哉に聞こえるように言って警戒心を煽ってやったりする。

そして鬼のような形相でこちらを見る直哉におっとやりすぎた、と、そそくさと教室を出てココの元へと向かった。

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