青い星と青虫と
阿狼は裕鷹に冷たい視線と言葉を投げかけた。
「さすが王族にいちばん近しい銀狼だな。
立ち位置をそうやって昔から変えることなく、姫に取り込んでもらってきたわけだな。
でも安心したまえ。いくら鷹としてひとりになろうとも、俺は卑怯な手など使いはしない。
最初に言っておく。
姫には自然の流れで俺を愛してもらうつもりだ。
力づく勝負せざるを得ないときは、阿狼・・・。お前と真剣勝負だ。
どうだ?嘘をついていると思うか?」
「言い分はよくわかりました。
わかった上で結界修復をお願いします。風羽先生。」
「銀狼は慎重派というか、さすが古来からの王族付きだな。
仕方がない・・・。手を貸してやる。」
「ありがとうございます。」
裕鷹は市狼に続いて出て行った。
そして阿狼は保健室へ小夜を抱きかかえて移動し、1時間ほどが過ぎた。
「うっ・・・あれ。ここって・・・?
わぁあーーーーー!会長ぉーー!!」
「しっ。ここは保健室のベッドです。見た目はね。
化け物が微妙なところをうろついていたので、私個人としても保健室まわりにやんわりと結界はしていますがね。
体調はいかがですか?
市狼の傷を治したためにかなりだるさを感じるのでは?」
「ええ。まだ体に力を入れようとしてもよろけちゃいそうです。
でも、目が覚めて阿狼さんがいてくれてよかった。
私に治癒能力があったこともびっくりしちゃったけど、虚ろになった意識の中でずっと阿狼さんを呼んでいました。もう怖くて怖くて。
きゃっ!ごめんなさいーーー。ファンの人たちに怒られちゃう。」
((他の生徒は剣を振るう阿狼さんの姿を知ってるのかな?
やだ。他の人には見てほしくない。って・・・私って・・・阿狼さんのこと・・・・・))