everlasting love~幾星霜の果て


やがて、生徒たちが楽しみに待っていた花火が次々と打ち上げられる。

大輪の花が夜空に浮かび上がるたびに沸き起こる大歓声。



花火に見入っていると、教室の引き戸が静かに開く音が聞こえた。

振り返ると、そこには打ち上げられた花火に照らされた倉田の姿があった。




「え……、瑠衣……くん!?」




まさか俺が、教室にたった1人でいるとは思ってもいなかったのだろう。

倉田はひどく驚いた様子で声を出す。




「……おまえ、後夜祭出ないのか?」


「あ……っ、うん。えと、あたしは麻友を捜していて……」


「蜂谷? あいつなら磯辺と一緒に後夜祭出てるんじゃねぇの?」


「磯辺くん……は、家の用事で先に帰ったって麻友が言ってた」




何か言いたげな倉田が、胸に何かを抱えているのが分かった。

何発目かの花火が夜空に上がり、薄暗い教室を照らしたとき、それが女物の靴であることに気づく。



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